災害のニュースや防災モニターには、震度5弱・大津波警報・1時間50mm・警戒レベル4といった 言葉が並びます。ここではそれぞれの災害がどう起きるのかと、 画面に出る数字が何を表しているのかを、通して読める文章にまとめました。

同じ題材を1項目ずつイラストで見たい方は 災害メカニズム・専門用語解説集もご覧ください。

地震のきほん

震度とマグニチュードは、別のものです

マグニチュード(M)

地震そのものの大きさ。1つの地震に1つだけ決まります。 電球でたとえると「電球の明るさ」です。

震度

その場所の揺れの強さ。同じ地震でも場所ごとに違います。 「電球からどれだけ離れた場所が明るいか」にあたります。

ですから「遠くの大きな地震」と「近くの小さな地震」で、震度が同じになることがあります。 マグニチュードが大きいというだけでは、自分のところが強く揺れるとは限りません。

震度は10段階

0・1・2・3・4・5弱・5強・6弱・6強・7 の10階級です。 5と6に「弱・強」があるのは、この範囲で被害の差が大きいためです。 かつては人の体感で判断していましたが、1996年4月からは計測震度計が自動で観測しています。

地震には大きく2つのタイプがあります

プレート境界型(海溝型)

海のプレートが陸のプレートの下に沈み込み、引きずり込まれた陸側が 限界に達して跳ね返ることで起きます。東日本大震災や南海トラフ地震がこれです。 規模が大きく、広い範囲が長く揺れ、大津波を伴います

内陸地殻内(直下型)

陸のプレートの内部にある断層(活断層)がずれて起きます。 阪神・淡路大震災や熊本地震がこれです。震源が浅いぶん、真上では激しく揺れます。 規模がM6〜7程度でも大きな被害が出ます。

マグニチュードが大きいほど、ずれる断層の範囲(震源域)は広がります。気象庁による目安は次のとおりです。

M5数km
M7数十km
M8100〜200km
M9500〜1000km

震源域が広いということは、揺れる範囲も、揺れている時間も長くなるということです。 「やけに長く揺れた」と感じたときは、規模の大きな地震だった可能性があります。 世界では1年の平均でM8以上が約1回、M7台が約14回、M6台が約136回起きています。

揺れが収まった後に起きること

長周期地震動 ― 高い建物がゆっくり大きく揺れる

大きな地震では、ゆっくりとした周期の長い揺れが生まれます。これは遠くまで届きやすく、 高層ビルの上の階ほど、大きく長く揺れ続けます。震源から数百km離れていても、 高層階では立っていられないほど揺れることがあります。家具の転倒や、 エレベーターの閉じ込めにつながります。

液状化 ― 地面が液体のようになる

水を多く含んだ砂の地盤が、強い揺れでどろどろの液体のようになる現象です。 地下水と砂が地上へ噴き出し、建物が傾いたり沈んだり、マンホールが浮き上がったり、 地中の水道管・ガス管が壊れたりします。埋め立て地や、昔は川や沼だった土地で起きやすくなります。

緊急地震速報 ― 数秒〜数十秒の猶予

地震の最初の小さな揺れ(P波)を震源の近くで捉え、強い揺れ(S波)が来る前に知らせるしくみです。 最大震度5弱以上が予想されるときに、スマートフォンなどが警報音で知らせます。 ただし震源が近いと、揺れのほうが先に来ます。間に合わないことがある前提で、 日ごろから家具を固定しておくことが要になります。

津波のきほん

なぜ、岸に近づくほど高くなるのか

津波の速さは水深で決まります。水深の深い沖では新幹線ほどの速さで進み、 岸に近づいて浅くなると急に遅くなります。ところが後ろから来る波は、まだ深いところにいて速いままです。 追いついた波が前の波に重なり、行き場を失ったエネルギーが高さに変わります。 これが、沖では数十cmしかなかった津波が、岸で何mにもなる理由です。

また津波は、普通の波と違って水の塊がまるごと押し寄せます。 高さ50cmでも大人は立っていられません。「たった50cm」ではありません。

「津波の前には潮が引く」は誤りです

引き波から始まるとは限りません。断層の動き方によっては、 引き波なしに、いきなり押し波が襲ってきます。 潮が引くのを待って判断する、という考え方は捨ててください。

警報の「3m」「5m」は区分です

津波警報は、地震発生から約3分(一部の地震では約2分)を目標に、 全国を66に分けた津波予報区ごとに発表されます。 このとき出る数字は、ぴったりの予測値ではなくあてはまる区分です。

種類発表の基準発表される高さ巨大地震のとき
大津波警報 予想の高さが高いところで3mを超える 10m超 / 10m / 5m 巨大
とるべき行動木造家屋が全壊・流失。ただちに高台や避難ビルへ
津波警報 予想の高さが高いところで1mを超え3m以下 3m 高い
とるべき行動標高の低いところは浸水。ただちに高台や避難ビルへ
津波注意報 予想の高さが高いところで0.2m以上1m以下 1m (表記しない)
とるべき行動海の中の人はただちに上がり、海岸から離れる

マグニチュードが8を超えるような巨大地震では、規模をすぐ正確に求められません。 そのため最初の発表では数字ではなく「巨大」「高い」という言葉が使われます。 これは非常事態を伝える表現で、数字が無いから軽い、という意味ではありません。 なお大津波警報は特別警報に位置づけられています。

とくに誤解されやすい4つのこと
  • あとから来る波のほうが高いことがあります。第一波が小さくても、警報が解除されるまで戻らないでください。
  • 到達予想時刻は「予報区の中で最も早い場所」の時刻です。場所によっては1時間以上あとに襲ってくることがあります。
  • 震源が陸地に近いと、警報が津波に間に合わないことがあります。強い揺れ、あるいは弱くても長い揺れを感じたら、警報を待たずに避難を始めてください。
  • 沖で低くても、岸に近づくほど高くなります。地形によって局所的に予想より高くなることもあります。

大雨のきほん

雨量は「1時間に何ミリ降ったか」で表します。1mmは、水がどこにも流れないとしたら 1mmの深さでたまる量です。数字だけではぴんと来ないので、気象庁は 体感と結びつけた表を公表しています。

10〜20mm/h やや強い雨

ザーザーと降る

雨の音で話し声が聞き取りにくい

地面一面に水たまりができる

20〜30mm/h 強い雨

どしゃ降り

寝ている人の半数くらいが雨に気づく

傘をさしていてもぬれる

30〜50mm/h 激しい雨

バケツをひっくり返したように降る

道路が川のようになる

車はブレーキが効かなくなることがある

50〜80mm/h 非常に激しい雨

滝のように降る

傘はまったく役に立たない

視界が悪くなり、車の運転は危険

80以上mm/h 猛烈な雨

息苦しくなるような圧迫感、恐怖を感じる

30mmを超えたあたりから、外にいることそのものが危険になります。 50mmを超えると傘は役に立たず、車の運転も危険です。 避難は、雨が強くなる前に済ませておくものだと分かります。

線状降水帯 ― 同じ場所に降り続ける

発達した積乱雲が次々と生まれ、風に流されながら同じ列に並び続ける現象です。 雲ひとつの寿命は1時間ほどでも、次の雲がすぐ後ろに補充されるため、 同じ場所に数時間にわたって強い雨が降り続けます。 局地的に数百ミリに達し、川の氾濫や土砂災害を一気に引き起こします。 「自分の所だけ雨がやまない」と感じたら、この状態を疑ってください。

ゲリラ豪雨(局地的大雨) ― 狭く、短く、激しい

ひとつの積乱雲が急に発達し、10km四方ほどの狭い範囲に、 数十分で数十ミリの猛烈な雨を降らせます。予測が難しく、 都市部では道路や地下街への急な浸水を招きます。 晴れていても、遠くで雷の音がしたら川や地下から離れてください。

水があふれるしくみ

「水があふれる」と一口に言っても、道すじが違うと危険な場所も、始まる順番も変わります

外水氾濫(がいすいはんらん)

川の水があふれること。堤防が壊れたり、乗り越えたりして起きます。 一度に大量の水が流れ込むため、勢いが強く、被害が広く深くなります。

内水氾濫(ないすいはんらん)

街に降った雨がはけずにあふれること。下水や排水路が追いつかず、 マンホールや側溝から水が噴き出します。川から遠くても起きます

雨が限界を超えると、多くの場合まず内水氾濫から始まります。 「川はまだ大丈夫」と思っていても、足元から浸水が始まることがあります。

バックウォーター現象 ― 支流が逆流する

本流の大きな川が増水すると、そこへ合流する支流の水が流れ込めなくなります。 行き場を失った水は支流側にたまり、逆流し、支流の堤防を越えたり壊したりします。 大きな川の近くで、その支流のそばに住んでいる場合はとくに注意が必要です。 本流の水位が下がるまで危険は続きます。

アンダーパスの冠水 ― 見た目より深い

線路や道路の下をくぐる凹んだ道は、周囲から水が集まって一気に水没します。 外から見ると浅そうに見えても実際は深く、水圧で車のドアが開かなくなります。 大雨のときは近づかないのが唯一の対策です。入ってしまったら、水位が上がる前に車を捨てて逃げてください。

台風と高潮

台風は「進行方向の右側」が危ない

台風は反時計回りに風が吹き込みながら進みます。そのため 進む方向に向かって右側では、台風自身の風と台風を運ぶ風が同じ向きになって重なり、 左側よりはっきり強くなります。これを危険半円と呼びます。 同じ距離でも、右側にいるか左側にいるかで風の強さは変わります。

高潮 ― 海面そのものが持ち上がる

高潮は津波とは別のもので、台風や発達した低気圧によって海面が異常に高くなる現象です。 2つの力が重なって起こります。

  • 吸い上げ効果 ― 気圧が下がると海面が持ち上がります。1hPa下がるとおよそ1cm上がります。
  • 吹き寄せ効果 ― 強い風が海水を岸へ吹き寄せ、行き止まりの湾では特に高くなります。

これが満潮と重なると被害は一気に大きくなります。 海抜の低い土地では、堤防を越えて 短時間で広範囲が浸水します。

土砂災害と火山

土砂災害はひとまとめに語られがちですが、動き方の違う3つがあります。 前ぶれの出方も、逃げ方も違います。

がけ崩れ 急傾斜地の崩壊

斜面の土が、雨や地震で一気にすべり落ちます。起きてから逃げるのはまず無理で、崩れるのは一瞬です。がけの近くで寝ている場合、崖と反対側の部屋へ移るだけでも違います。

前ぶれがけから小石が落ちる/がけに割れ目が見える/湧き水が濁る・止まる

土石流 山津波とも呼ばれる

谷にたまった土砂や岩、倒木が大量の水と混ざり、川沿いを一気に流れ下ります。時速数十kmに達し、巨大な岩を含んで流れるため破壊力が桁違いです。走って逃げ切ることはできません。

前ぶれ山鳴りがする/川の水が急に減る/流れが濁って木が混ざる/腐った土のにおい

地すべり ゆっくり、しかし大きく動く

広い範囲の地面が、ゆっくりと下へ動きます。動きは遅いのですが動く土の量が多く、家や道路ごと押し流します。動き始めると止めることは難しく、範囲も広がります。

前ぶれ地面にひび割れや段差ができる/井戸の水が濁る/樹木や電柱が傾く

崩れる「深さ」でも呼び方が変わります

斜面の表面だけが崩れるものを表層崩壊といいます。 厚さは数十cm〜数mほどで、土砂災害の中では最も多く起こります。木ごと滑り落ちてきます。

これに対し、表面の土だけでなくその下の岩盤ごと、深いところから丸ごと崩れるものを 深層崩壊といいます。めったに起きませんが、 流れ出る土砂の量が桁違いで、山あいの集落を一度に飲み込みます。 川をせき止めて天然のダムを作り、それが後から決壊して二次被害を出すこともあります。

前ぶれを待たないでください

前ぶれは必ず現れるとは限りません。夜間や大雨のさなかは、音もにおいも分かりません。 前ぶれは「気づいたら即避難」の合図であって、避難の判断を待つための材料ではありません。 土砂災害警戒区域にお住まいなら、雨の段階で動いてください。

火砕流 ― 逃げられない災害

火山の噴火にともない、高温の火山ガス・火山灰・岩のかけらが一体となって 時速100km以上で斜面を流れ下る現象です。温度は数百度に達します。 発生してから逃げることはできません。 火砕流だけは、噴火警戒レベルに従って起きる前に離れておくほかに助かる方法がありません。

警報と警戒レベル

防災の情報は、5段階の「警戒レベル」に対応づけて発表されます。 気象庁が出す情報と、市町村が出す避難情報、そして「キキクル」という地図の色が、 同じ段階でそろうように整理されています。

レベル気象庁の情報キキクルの色とるべき行動
5 レベル5 特別警報 黒「災害切迫」 緊急安全確保
すでに災害が起きている可能性が極めて高い。命を守る最善の行動を
4 レベル4 危険警報 紫「危険」 避難指示
危険な場所から全員避難。ここまでに避難を終える
3 レベル3 警報 赤「警戒」 高齢者等避難
高齢者等は避難開始。ほかの人も準備を
2 レベル2 注意報 黄「注意」 避難行動の確認
ハザードマップで避難先と経路を確認する
1 早期注意情報 心構えを高める
警報級の可能性が示されている段階
★2026年度から「危険警報」が加わりました

かつては「注意報 → 警報 → 特別警報」の3段階でしたが、 現在は警報と特別警報のあいだに「危険警報」が入ります。 情報の名前にレベルの数字が付くようになったのも新しい点です (例:「レベル4危険警報」)。 避難指示に相当するのは、特別警報ではなく危険警報の段階です。

キキクル ― 自分の場所の危険度が地図で見える

気象庁が出している、危険度を地図上の色で示すしくみです。 黄「注意」→ 赤「警戒」→ 紫「危険」→ 黒「災害切迫」と濃くなります。 警報は市町村単位ですが、キキクルはもっと細かい範囲で見られるため、 「同じ市でも自分のいる所は危ないのか」が分かります。 土砂・浸水・洪水それぞれの地図があります。

警報は「雨量」だけでは決まりません

今の警報は、降った雨がどう災害につながるかを数値にした3つの指標で判断されます。

  • 土壌雨量指数 ― 地中にどれだけ雨がしみ込んでたまっているか(土砂災害)
  • 表面雨量指数 ― 地表にどれだけ水がたまりやすいか(浸水害)
  • 流域雨量指数 ― 上流に降った雨が集まってどれだけ川が増えるか(洪水)

だから「雨が弱まったのに警報が続く」ことがあります。 地面にはまだ水がたまり、上流の雨はこれから川に集まってくるからです。 雨がやんだ=危険が去った、ではありません。

★基準は全国一律ではありません

気象庁は「警報や注意報の基準は地域によって異なります」と明記しています。 同じ「1時間50mm」でも、水はけや地形、これまでの災害の記録によって、 警報が出る土地と出ない土地があります。 隣の市に警報が出ていないから安全、とは言えません。

避難指示を待たないでください

警報を出すのは気象庁、避難指示を出すのは市町村です。 そして気象庁は「多くの場合、防災気象情報は避難指示より先に発表される」としています。 レベル4に相当する情報が出たら、避難指示がまだ出ていなくても、 キキクルや川の水位を見て自分で判断してください

なお、防災モニターが表示する「警戒レベル○相当」は気象庁の情報から機械的に計算した目安で、 市町村が実際に出した避難情報ではありません。最終的な判断は市町村の発表を最優先してください。

Jアラート ― 国から直接届く知らせ

津波警報、噴火警報、弾道ミサイル情報など、考えている時間がない事態のときに、 国から人工衛星を通じて市町村の防災行政無線やスマートフォンへ瞬時に伝えるしくみです。 鳴ったら理由を確かめる前に、まず身の安全を確保してください。

災害のあとに起きること

災害は、揺れや雨が収まったあとにも被害を出します。ここで挙げるものは いずれも「知っていれば防げる」性質のものです。

通電火災 ― 電気が復旧したときに燃える

地震で停電したあと、電気が復旧した瞬間に火が出ることがあります。 倒れたままの電気ストーブ、傷ついたコード、水につかった家電に、 誰もいない部屋で再び電気が流れるためです。 避難するときはブレーカーを落としてください。 これだけで防げます。慌てて忘れやすいので、玄関に貼り紙をしておくのも有効です。

むやみに移動しない ― 帰宅困難と群衆雪崩

都市部で電車が止まったとき、大勢が一斉に歩いて帰ろうとすると、 道路が人であふれて救助や消防の車が通れなくなります。 さらに混雑した場所では、1人の転倒がきっかけで次々と人が折り重なる 「群衆雪崩」が起きます。逃げ場がなく、圧迫されて命に関わります。

だから原則は「むやみに移動しない」です。 職場や駅にとどまるほうが安全なことが多く、そのための備蓄が用意されている施設もあります。 人が密集している場所に入ってしまったら、壁ぎわへ移動し、流れに逆らわないようにしてください。

エコノミークラス症候群 ― 車中泊・避難所で起きる

狭い座席で長時間同じ姿勢でいると、足の静脈に血の塊(血栓)ができます。 これが立ち上がったときに肺の血管へ飛び、息ができなくなることがあります。 過去の災害では、これで亡くなった方が実際にいます。

防ぐ方法ははっきりしています。水分をこまめにとる。足を動かす。ときどき歩く。 トイレを我慢したくて水を控えるのが最も危ないので、 携帯トイレを備えておくことが、そのまま命を守ることにつながります。

災害のあとに起きることは 被災時に最も見落とされている事実で 時間の流れに沿って詳しく扱っています。

数値・区分の出典: 気象庁「雨の強さと降り方」「震度について」 「津波警報・注意報、津波情報、津波予報について」「地震について(よくお寄せいただくご質問)」 「キキクル」「防災気象情報と警戒レベルとの対応について」。2026年8月時点の内容です。